「オンライン一元管理の功罪・その1」

 アメリカは進んでいるのか遅れているのか、よくわからない国である。現在ではいろいろな分野にコンピュータが進出してきて、公的機関でも民間でも広く導入されている。ここで気になるのが、オンラインで全ての支店を結んだ一元管理。

 まずは、DWPから。これは日本の水道局と電力会社をまとめたようなところだが、ロス内で引っ越した際にきちんと転居届けを出したにもかかわらずトラブルに遭った。詳細は省くが、とにかく私は古いアパートの最後の支払いを二重にする羽目に陥った。

 普通このような時は、余分に払った分を次の請求書から割り引くはずだ。ところが私の場合、新しいアパートの請求がいつまでたっても来ない。なんと、その請求は私ではなくアパートのオーナーのところに行っていたらしく、約半年後にオーナーから苦情が来た。そこで、改めて「名義変更&前の払い過ぎも返して」となった訳のだが、ナントたかだか半年前の記録が古すぎて残っていないというのだ。

 DWPはロサンぜルス全域をカバーしている。どこに住んでいても同じ電話番号にかかる。従って記録も1カ所にまとめられている訳なのだが、「全米データじゃあるまいし、たかがロサンゼルスのたった半年前の記録も残せないような容量が少ないメイン・コンピュータしかないくせに、一元管理なんかするな!」

 DWPも電話会社もガス会社も全て一元管理のために、個別の支店の電話番号を公開してない。そのため、公共料金の問い合わせや住所変更の時は、受話器の向こうから「お待ち下さい」のメッセージを聞かされながら5分10分当たり前、下手すると30分も待たされる。

 なんでそこまでして、一元管理しなきゃいけないのだ!? 同じ1つのコンピュータを使っていても、DMV(車両管理局)では各支所の電話番号を公開している。すいている支所を選んで電話すればすぐにつながるうえに、どこの支所の予約もできて非常に便利だ。お役所だってやればできるじゃないか! 他の公共機関も少しは見習え!

(原文:96/1 加筆訂正:98/9)