99.2.1の独り言

 ジャイアント馬場が亡くなってしまった。まだ61才、かなりの衝撃があった。

 私はプロレスが好きだ。私のプロレス人生(?)のルーツは、幼い頃から祖父母と一緒に観ていたゴールデンタイムのプロレスだ。土曜夜8時4チャンネルの馬場は、金曜夜8時10チャンネルの猪木と共に、私のプロレスの原点である。

 当時はプロレス黄金時代。小学校のクラスのほとんど全員が観ていた。翌日になれば、前夜のプロレスの内容が教室の話題になった。なぜかトラクター系が多かったプロレスの合間に流れるCMを、真似するクラスメートもたくさんいた。言うまでもなく、猪木と馬場は一時代を築いた。

 成長してからの私はひねくれ者で、あまりに皆が騒ぐと逆に冷めてしまう。メジャーとマイナーの中間にある、最近のプロレスも好きだ。昔のような人気はないが捜せば意外にファンがいる・・・そんな今の状況の中で、プロレス・ファンでいるのは心地よい。

 しかし、今活躍しているプロレスラーの名前をどれだけの人が知っているだろう。未だに、有名なのは猪木・馬場と、そして彼らの全盛期から昭和の終盤に活躍したレスラーたちだ。坂口、ストロング小林、鶴田、長州、藤波、マサ斎藤、天龍、ラッシャー木村あたりなら、「特にプロレス・ファンではないが知っている」という人がたくさんいるだろう。橋本、武藤、蝶野、三沢、田上、川田なんて、どれだけの人が知っている? さらにその下の世代になると、プロレス・ファンじゃなければ名前も知らないだろう。

 外国人選手をみても、マイナー団体が客寄せに呼ぶのは、未だにブッチャーなのだ。

 98年、猪木引退。99年、馬場永遠に欠場。長州も引退した。豊登、芳の里は先頃、亡くなった。間もなくマサ斎藤も引退する。ラッシャー木村にしても、ともに前座プロレスで客を湧かせていた馬場亡き今、そう遠くないうちにリングから去っていくだろう。現役で頑張っているのは藤波と天龍くらいか。

 人間であれば、誰しも年老いる。いつかは死ぬ。人も時代も常に変わっていく。当たり前のことである。だけどやっぱり淋しい。

 とりたてて馬場のファンであった訳ではない。しかし訃報を耳にした時、受けたショックの大きさに自分で驚いた。確かに馬場はここしばらく病気で欠場していた。その前だって、タッチした後でロープの外に下がるのが難儀な状態だった。リングへの上り下りさえ、若手の肩を借りていた。それでも、何だか勝手に「馬場はリングに戻ってくる」と信じていた。馬場は、死ぬ前日まで「動いている馬場を観ただけで感動する」観客を沸かせ、ある朝突然、旅立っていくのだろうと思っていた。

 今にして思うと、私は馬場に祖父の姿を重ねていたような気がする。冷静に見て似ている訳ではないが、痩せて背が高かった祖父は私の中では馬場のイメージだった。椅子の上で全身に力を入れながら馬場の試合を無言で応援していた祖父は、私が17の夏に他界した。もう随分と昔のことだ。前夜まで食事を共にし、ある朝突然、安らかに眠るように死んでいた。私はそのイメージを、勝手に馬場に重ねていたのかもしれない。

 訃報は月曜の朝、会社で、インターネットで知った。しばし仕事が手に着かず、情報を求めていろいろなサイトをさまよう。会社なのに涙腺がゆるむ。(私が涙目になろうが、鼻をかもうが、どうせ同僚は風邪のせいだとしか思わないのでいいんだが・・・)

 家に帰って独りになったら、やっぱり泣けてきた。何でだろうなぁ。

 同様にプロレス好きの祖母がいた友人が、最前列でのプロレス観戦に祖母を連れて行ったことを自慢していたなぁ。今さらうちの祖母をプロレス観戦に連れて行っても、もう知らないレスラーばかりで喜んでくれないだろうな。

 21世紀を前に、日本中の人々を魅了した昭和プロレスが、静かに消えていく・・・。

(敬称略)


 週末、多少元気になった。アメリカのティッシュの質が悪いせいか、鼻のかみすぎで唇の上にかさぶたができたが、日曜の夜には随分と鼻をかむ回数も減っていた。

 月曜、会社に新しいパソコンが入り、それに伴う既存のパソコンの移動もあった。結局、パソコンを設定したりケーブル繋いだりするのは私しかいない。それにしても、新しいパソコンやモニタを箱から出すくらい、誰でもできるだろ?! 何で私が一人で埃まみれになって、いくつものパソコンやモニタを運び回ったり、イーサネットはともかく電源の面倒まで見なきゃならんのだ?!

 新しいパソコンは当然、高機能高速だ。自分が使う訳でもない、自分のパソコンよりはるかに快適なパソコンを設定していたら、ふつふつと怒りが湧いてきた。予備になったパソコン、空いている電源を捜すのが面倒なのでモニタの電源ケーブルを繋がずに放っておいた。

 数時間後、「あのモニタ、電源さえ繋げば使えるはずですよね?」「電源繋いだのに、つかないんですけど」と私のところにやってくる同僚。見に行けば、確かにモニタに電源ケーブルは刺さっているが、反対側の端がコンセントに刺さっていない・・・。

 てめぇ〜ら、ナメてんのか?! ふざけんじゃねぇ〜よ! コンセントに刺さってるかどうかなんて、小学生でも見りゃわかるだろ! んなことで、いちいち人を呼ぶな! 馬鹿やろぉ〜!!!

 文字通り、頭痛がしてきた。相変わらず冷房も入っていやがるし、会社にいたら鼻かむ回数もまた増えた。会社に行くのやめない限り、私の体調は良くならないかもしれない(_ _;;;...。


エッセーのメニューに戻る
  • 次回の独り言に行く
    過去の独り言メニューに戻る
  • 前回の独り言に戻る
    トップに戻る